値段は、書いたほうがいいですか。——「お問い合わせください」と書く前に
あるお客さまが、あなたのお店のページを見ています。写真も感じがいい。やってくれることも分かった。あとは予算に合うかどうか——と、料金の欄まで来ました。そこに、こう書いてあります。「料金はお問い合わせください」。
その人は、少し考えます。そして、たいていの場合、そのまま閉じます。
書きたくない理由には、ちゃんと根拠があります
先に書いておくと、値段を出さないのは、いいかげんだからではありません。むしろ逆で、真面目な人ほど書けなくなります。
内容によって手間がまるで違うから、一つの数字にすると嘘になる。安く見せて期待させたくない。かといって高い数字を先に出して、話す前に諦められるのも困る。同業に手の内を知られたくない、という事情もあるでしょう。どれも、もっともな話です。
ただ、お客さまの側では別のことが起きています
値段が書いていないページを見たとき、その人が最初に思うのは「高そう」でも「安そう」でもありません。「聞かないと分からないのか」です。
そして、問い合わせるには少し勇気が要ります。予算に合わなかったときに断る気まずさ。しつこく営業されるかもしれない不安。名前とメールアドレスを渡すことへのためらい。それらを全部越えてでも聞きたいと思うほど、まだあなたのお店を知りません。
もう一つ。値段が無いページは、比べてもらう土俵にすら上がれません。人は候補を三つくらい並べて考えます。二つに金額があって、一つに無ければ、無いほうが先に外れます。中身で負けたのではなく、判断できないから外れる。ここがいちばん、もったいないところです。
全部書けなくても、「入口の一つ」なら書けます
すべての料金を出す必要はありません。この一つだけなら、いくらから始められるか。それが書ければ十分です。
- 下限を出す——「◯◯円から」。上限を書かなければ、幅のある仕事でも嘘になりません。
- 三段階にする——小・中・大の三つを並べると、お客さまは自分がどのあたりかを自分で判断できます。
- 条件を添える——「ページ一枚・写真はお預かりする場合」のように前提を書けば、そこから外れたときの説明もしやすくなります。
- 過去の帯を出す——「これまでのご依頼は◯万円から◯万円くらいでした」。実績を語りながら目安になります。
もし「自分でも分からない」なら
書けない理由が、隠したいからではなく本当に分からないからということもあります。その場合は、ページの問題ではありません。
試しに、去年やった仕事を三件だけ紙に書いて、それぞれ「もらった金額」と「かかった日数」を並べてみてください。だいたいの帯が見えてきます。見えたら、そこが値段の出発点です。この作業は、ページのためというより、あなたの商売のためのものです。ページはそのあとで直せば済みます。
値段は、断る理由ではなく、選ぶ材料
値段を出すと安く買い叩かれる、という心配をよく聞きます。けれど実際には、金額を見て納得した人だけが来るので、話が早くなります。値段で去っていった人は、書いていなくても、聞いたあとで去っていった人です。去るタイミングが早くなるだけで、失った仕事ではありません。
うちのページにも、金額を全部書いています。隠すより、そのほうが話が早いからです。