Journal — ページの考え方

パンフレットと名刺で、創業の年が違っていませんか。

BIW STUDIO / “係長”(作家) | 公開 2026-10-20

お店や会社の紹介を書こうとして、「創業」の一行で手が止まったことはありませんか。パンフレットには昭和三十二年、名刺の裏には昭和三十三年、求人票にはまた別の年。どれも自分の会社で作った紙なのに、三つとも違っています。

これは、誰かが間違えたという話ではありません。会社には、年がいくつもあるからです。書いた人がそのとき手元にあった資料を見て、それぞれ正直に書いた結果、紙ごとに年が変わります。長く続いている会社ほど、そうなりやすいものです。

よくあるのは、この四つです。個人のお店として商いを始めた年。会社にした年。屋号や社名を変えた年。いまの場所へ移った年。どれも「創業」として書かれることがあるので、どの年を選ぶかは、書く人しだいです。先代から「創業は昭和三十二年」と聞いていても、登記の上の会社は昭和四十八年生まれ、ということが普通に起こります。どちらも本当のことです。

「うちの歩み」は、三方向に効きます

ひとつめは、あとを継ぐ方に。日々の仕事は横で見ていれば覚えられますが、なぜこの商売なのかは、書いた物がないと渡りません。年表は、その受け渡しのいちばん軽い形です。先代にお話を聞ける会社は、それだけで恵まれています。まとめるのは早いほうが、あとがずいぶん楽になります。

ふたつめは、人を採るときに。求人を見て、応募の前に会社の名前を調べる方は少なくありません。調べた先に三十年、五十年の積み重ねが一枚で見えると、「ここなら続きそうだ」という見当がつきます。休みや手当の条件を並べるより先に効く場面が、たしかにあります。

みっつめは、取引先や金融機関に。新しい取引や審査の前に、相手はたいてい、あなたの会社のことを調べます。そのときに何も出てこない会社と、歩みが一枚あって年がぴたりと合っている会社とでは、最初の一歩の重さが違います。

年表は、三段で作れます

  1. 公開されている資料で、下書きを作る。登記、商工団体の名簿、古い地図、図書館で読める昔の新聞。会社の外に残っている紙から、年のはっきりすることだけを先に並べます。登記は手数料こそかかりますが、どなたでも法務局で取れます。この段では、まだ誰にも聞きません。
  2. 聞き取りで、確かめる。下書きを、先代やご家族、古くから会社を知る方に見せて、一行ずつ「これで合っていますか」と確かめていきます。白紙のまま「創業はいつですか」と聞くより、相手がずっと思い出しやすいからです。
  3. 読める形にする。年表と、節目の短い文と、出どころ。この三つが揃って、はじめて人に見せられる形になります。

三段とも、外に頼まなくてもできます。資料が散らばっていて手が付かない、という段で止まったときは、ホームページ係が下書きづくりから引き取ります。

食い違いは、消さずに残す

三段の途中で、たいてい食い違いが出ます。ご家族の記憶は昭和三十二年、名簿の初出は昭和三十三年。ここで、どちらかを消してしまいたくなります。

おすすめしません。両方を並べて、どちらを採ったかと、その理由を一行だけ添えてください。あとから古い写真や書類が出てきたときに、直すための手がかりが残ります。それに、「調べて、確かめて、こう決めた」という跡は、読む人には会社の誠実さとして伝わります。年が一つに決め切れないことは、弱みではありません。

実際にどんな形になるかは、架空の会社で作った見本でお見せしています。年表の一行ごとに出どころを添えて、食い違った創業の年もそのまま並べてあります。

まずは、手元の三枚を並べてみてください。パンフレット、名刺、求人票。年が揃っていたら、それはもう立派な資産です。揃っていなかったら、会社の歩みを一度きちんと調べ直してみる頃合いかもしれません。

会社の歩み(沿革)のページは、紹介ページ・ホームページ一式の中でお作りします。手元の資料を見せていただくところから、お気軽にどうぞ。

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