サービスに名前をつけたら、初めて「ええやん」と言われた話。
先日、経営者をしている友人に、わたしのサイトを見てもらいました。返ってきた感想は、ひと言。
「わからん」。
正直、へこみました。文章を書くことを本職にしてきた人間のサイトが、伝わっていなかったのです。でも、この「わからん」が、うちのサービスを生まれ変わらせてくれました。今日はその話です。
「作り手の言葉」で書いていた
当時のわたしのサイトには、こう書いてありました。「LP制作」「業務システム開発」。
どちらも、業界では普通の言葉です。でも友人は言いました。「エルピーって何?」——それで目が覚めました。
「LP」は、わたしたち作り手の言葉です。お客さんの頭の中にあるのは「ホームページ」。「業務システム」も作り手の言葉で、お客さんが毎日向き合っているのは「事務」です。わたしは、お客さんの頭の中にない言葉で、看板を書いていたのでした。
名前がつくと、物語は動き出す
わたしは作家として、10年以上物語を書いてきました。物語の世界には、はっきりした法則があります。名もない脇役に名前をつけた瞬間、そのキャラクターは動き出す。読者が呼べるようになるからです。
サービスも同じでした。名前のないサービスは、お客さんが「呼べない」。呼べないものは、人に頼めないのです。
そこで、サービスに名前をつけることにしました。選んだのは「係」という言葉です。ホームページをつくって育てる「ホームページ係」。予約・請求・シフトなど毎日の事務を仕組みと代行で引き受ける「事務係」。まとめて、「うちの係」。
「係」は、学校にも会社にもある言葉です。「◯◯係」と聞けば、何をしてくれる人か、説明の前にわかる。そして係は、「頼んでいい相手」です。外に頼むのに、内側の言葉。ここが気に入っています。
同じ友人が、もう一度見てくれた
名前をつけて、サイトを作り直しました。変えたことは、大きく二つだけです。
一つ、サービスに名前をつけたこと。二つ、その名前と一言説明を画面の最初に置いて、長い説明は後ろに回したこと。
もう一度、同じ友人に見てもらいました。今度の返事は——「ええやん」。
同じ人が、同じ会社のサイトを見て、感想が180度変わる。商品もわたしの腕も、何も変わっていません。変わったのは、言葉の順番と、名前だけ。名前には、それだけの力があります。
サービスの名づけ、3つのコツ
この経験から学んだことを、3つにまとめます。あなたの会社のサービスにも、そのまま使えるはずです。
- お客さんが使っている言葉で名づける。業界用語は、社内では正確でも、お客さんの頭の中にはありません。お客さんが普段の会話で口にする言葉を、そのまま名前にする。
- 名前だけで「何をしてくれるか」がわかるようにする。かっこいい横文字より、「読んだ瞬間に仕事内容が浮かぶ名前」。説明が要る名前は、名前の仕事をしていません。
- 名前を最初に、説明は後ろに。人は最初の数秒で「自分に関係あるか」を判断します。まず名前と一言、詳しい話はスクロールの先へ。
ちなみに、名前を考えるときは商標の確認もお忘れなく。似た名前が登録されていないか、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で無料で調べられます。
「うちの係」、はじめました
というわけで、BIW STUDIOのサービスは「うちの係」になりました。ホームページの係と、事務の係。小さな会社の「外に頼む、うちの係」です。
名前をつけたら、自分の仕事も前より好きになりました。名前とは、そういうものかもしれません。